平和祈念像が中心
長崎の平和への願いを象徴する、印象的な大型像を見学できます。
AI要約
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長崎の原爆の記憶と平和への祈りを静かにたどれる、学び中心の公園です。
平和祈念像と平和の泉を中心に、原爆犠牲者への追悼と世界の平和を願う長崎の重要な場所です。園内には碑やモニュメントも点在し、短時間の立ち寄りから平和学習まで幅広く向いています。観光というより、静かに向き合う訪問が合います。
長崎の平和への願いを象徴する、印象的な大型像を見学できます。
水を求めた犠牲者への追悼を込めた場所で、静かに歴史を感じられます。
折鶴の塔や各国の寄贈碑などを巡ると、平和への思いの広がりが伝わります。
平和祈念像と平和の泉を見学し、時間があれば園内の碑やモニュメントも静かに巡るのがおすすめです。
平和公園は、長崎市松山町にある平和祈念施設です。昭和20年(1945年)8月9日に長崎へ投下された原子爆弾による犠牲者の冥福を祈るとともに、悲惨な戦争を二度と繰り返さないことを誓い、世界恒久平和と核兵器廃絶を願う場所として整備されました。
平和公園は複数の区域から構成されています。平和祈念像や平和の泉がある「願いのゾーン」は、原爆落下中心地を中心とする「祈りのゾーン」の北側に位置する小高い丘に広がっています。観光案内などでは、「祈りのゾーン」を「原爆落下中心地公園」と呼び、平和祈念像のある区域と区別して紹介することもあります。
願いのゾーンには、長崎市民の平和への願いを象徴する平和祈念像を中心に、式典広場、平和の泉、折鶴の塔、長崎の鐘、世界各国や海外の都市などから寄贈された平和モニュメントが配置されています。原爆の歴史を後世へ伝えるだけでなく、国や民族、宗教を越えて平和について考えるための祈りの空間となっています。
長崎への原子爆弾投下
昭和20年(1945年)8月9日午前11時2分、長崎市松山町の上空約500メートルで原子爆弾が炸裂しました。
爆心地付近では、猛烈な熱線、爆風、放射線によって建物が破壊され、火災も発生しました。多くの人々が命を奪われ、生き残った人々も重い火傷や負傷、放射線による健康被害などに長く苦しむことになりました。
現在、原子爆弾の落下中心を示す碑は、平和祈念像のある願いのゾーンではなく、その南側にある祈りのゾーンに立っています。原子爆弾は、この落下中心地碑が示す地点の上空約500メートルで炸裂したとされています。
平和祈念像のある区域と原爆落下中心地のある区域は隣接しているため、一体的な平和学習の場所として巡ることができます。平和祈念像や平和の泉は願いのゾーン、原爆落下中心地碑や旧浦上天主堂の遺壁は祈りのゾーンにあります。
平和祈念像
平和祈念像は、長崎市民の平和への願いを象徴する、平和公園の中心的なモニュメントです。現在の長崎県南島原市にあたる南高来郡南有馬村出身の彫刻家・北村西望(きたむらせいぼう)によって制作され、昭和30年(1955年)に完成しました。
像は青銅製で、高さ約9.7メートル、重さ約30トンに及びます。さらに、高さ約3.9メートルの台座の上に設置されているため、間近で見ると非常に大きく、力強い印象を受けます。
筋肉質でたくましい男性の姿には、力強さだけでなく、静かな祈りと深い慈悲が表現されています。作者は、像に神の愛と仏の慈悲を象徴させ、人種や宗教を越えた普遍的な人間の姿として表現しました。
平和祈念像は、原爆犠牲者を慰霊するだけでなく、人類が過去の悲劇を繰り返さず、平和な未来を築いていくための決意を表す作品でもあります。
平和祈念像に込められた意味
平和祈念像の独特な姿勢には、それぞれ重要な意味が込められています。
天を指す右手は「原爆の脅威」を表し、水平方向に伸ばした左手は「平和」を象徴しています。軽く閉じた瞼には、原爆や戦争によって亡くなった人々の冥福を祈る思いが込められています。
静かに座る姿には深い祈りが表現される一方、片方の足を立てた姿勢からは、平和を守るために立ち上がろうとする強い意志も感じられます。ただし、作者が明確に説明した基本的な意味は、右手が原爆、左手が平和、顔が戦争犠牲者への祈りを表すという点です。
像の台座裏には、作者である北村西望の言葉が刻まれています。その言葉からも、平和祈念像が特定の民族や宗教だけを表すものではなく、すべての人類に共通する平和への願いを象徴していることが分かります。
平和祈念像の建立
平和祈念像は、原爆犠牲者を慰霊し、世界恒久平和を願う象徴として計画されました。制作を担当した北村西望は、日本を代表する彫刻家の一人です。長い年月をかけて構想と制作に取り組み、昭和30年(1955年)8月8日に除幕式が行われました。
完成後、平和祈念像は長崎から国内外へ平和を訴える象徴となり、毎年8月9日に行われる平和祈念式典を見守ってきました。
長年にわたって屋外に設置されているため、像の保存には定期的な修復が必要です。平成11年度(1999年度)には大規模な修復工事が行われました。
また、被爆75周年を前にした平成31年(2019年)にも、経年劣化への対応として塗り直しを含む修復工事が実施され、同年3月28日に完了しました。こうした保存活動によって、平和祈念像は現在も長崎を代表する平和の象徴として大切に守られています。
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典
毎年8月9日には、平和祈念像前の式典広場で「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が行われます。長崎市は8月9日を「ながさき平和の日」と定めています。
式典には、原爆犠牲者の遺族や被爆者、市民、政府関係者、各国の代表者などが参列します。原子爆弾が炸裂した午前11時2分には、参列者が一斉に黙とうをささげ、原爆犠牲者を追悼します。
式典では例年、原爆死没者名簿の奉安、献水、献花、黙とう、長崎平和宣言、平和への誓いなどが行われます。
長崎市長が読み上げる長崎平和宣言では、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を国内外へ訴えます。また、被爆者や若い世代などによって平和への誓いが述べられ、長崎で起きた惨禍を次の世代へ伝えていく決意が示されます。
平和祈念像は、この式典を静かに見守る存在として、長崎から世界へ発信される平和の願いを象徴しています。なお、式典の内容や参列方法などは年度によって変わる可能性があります。
平和の泉
平和の泉は、平和祈念像の前方に設けられた、直径約18メートルの円形の泉です。原爆による熱線や火災で身体を焼かれ、「水を」と求めながら亡くなった犠牲者に水をささげ、その冥福を祈るために造られました。
建設にあたっては浄財が募られ、世界恒久平和と核兵器廃絶への願いを込めて、昭和44年(1969年)に完成しました。水をたたえた泉は、被爆者が切実に求めた「水」を象徴し、訪れる人々に原爆被害の過酷さを伝えています。
噴水は、平和の象徴である鳩と鶴の羽根をイメージした形で水が噴き上がるように設計されています。左右から中央へ向かって広がる水の流れは、翼を広げた鳥のようにも見え、静かな祈りの空間に清らかな景観をつくり出しています。
平和の泉も経年劣化への対応として、平成30年(2018年)10月からタイルの改修や泉内部の防水工事が行われました。工事は平成31年(2019年)3月27日に完了しています。
少女の手記を刻んだ石碑
平和の泉の正面には、被爆当時9歳だった山口幸子さんの手記を刻んだ石碑が設置されています。
そこには、原爆投下後、激しい喉の渇きに苦しみ、油のようなものが浮いた水を飲まざるを得なかった体験が記されています。この手記は、被爆直後の長崎で、負傷した人々がどれほど切実に水を求めていたのかを具体的に伝えるものです。
平和の泉の水と向き合いながら碑文を読むことで、原爆による被害を過去の数字としてではなく、一人ひとりの苦しみや体験として受け止めることができます。
献水の意味
水は、長崎の原爆犠牲者を追悼するうえで、非常に重要な意味を持っています。
原爆投下直後の市内では、水道施設の損壊や火災などによって水を得ることが難しく、火傷や負傷に苦しむ大勢の人々が水を求めました。しかし、十分な水を得られないまま亡くなった人も少なくありませんでした。
そのため、毎年8月9日の平和祈念式典では、犠牲者に水をささげる献水が行われます。平和の泉もまた、水を求めながら亡くなった人々への追悼を恒常的に表す施設です。
美しい噴水を眺めるだけでなく、なぜこの場所に水がたたえられているのかを考えることが、平和公園を訪れるうえで大切です。
世界各国から寄贈された平和モニュメント
平和公園の願いのゾーンには、世界各国や海外の都市などから寄贈された、平和を象徴する彫刻や記念碑が点在しています。
それぞれの作品は、生命、友好、家族、未来、戦争からの解放など、さまざまな主題を異なる造形で表現しています。「諸国民友好の像」「人生の喜び」「平和」「乙女の像」「平和のマント」「太陽と鶴」「無限」「地球星座」「未来の世代を守る像」など、多様な作品を見ることができます。
これらのモニュメントは、平和を願う気持ちが長崎市民だけのものではなく、国境を越えて世界の人々に共有されていることを示しています。
作品の題名や寄贈国、制作意図を確認しながら歩くと、それぞれの国や芸術家が考える平和の姿に触れられます。平和祈念像だけでなく、園内各所の作品を巡ることも、願いのゾーンの大切な見学方法です。
折鶴の塔と千羽鶴
園内には、平和への祈りを込めた折り鶴を奉納するための「折鶴の塔」が設けられています。折鶴の塔には、平和への願いを込めた数多くの折り鶴が奉納されています。
鶴は長寿や幸福を象徴する鳥として親しまれており、折り鶴は原爆犠牲者への追悼と平和への願いを表すものとなっています。
色鮮やかな千羽鶴には、被爆の記憶を受け継ぎ、核兵器のない未来を願う一人ひとりの思いが込められています。奉納する際は、長崎市や現地の案内を確認し、決められた場所と方法を守ることが大切です。
長崎の鐘
願いのゾーンにある「長崎の鐘」は、被爆当時、この地域にあった軍需工場などで働き、原爆によって亡くなった人々の冥福を祈るために造られました。
当時の被爆地周辺には、魚雷や兵器などを生産する軍需工場がありました。そこでは一般の労働者だけでなく、動員された学生や「女子挺身隊」と呼ばれた女性たちも働いていました。
長崎の鐘は、原爆犠牲者の33回忌にあたる昭和52年(1977年)に建立されました。8月9日には鐘が鳴らされ、その音が原爆犠牲者への祈りと平和への願いを伝えます。
なお、平和祈念式典では、原子爆弾が炸裂した午前11時2分に黙とうが行われます。鐘を鳴らす時刻や行事上の扱いは年度によって変わる可能性があるため、式典について紹介する場合は、その年の公式な式次第を確認する必要があります。
長崎刑務所浦上刑務支所跡
現在、平和祈念像が立つ一帯には、原爆投下当時、長崎刑務所浦上刑務支所がありました。
爆心地に近かったため、建物は原爆によって壊滅的な被害を受け、職員や収容者を含む多くの人々が犠牲になりました。
園内には、刑務支所の周囲を巡っていた壁の一部が地面に残されています。平和祈念像や噴水に目を向けるだけでは分かりにくいものの、この場所そのものが被爆遺構の残る地であることを伝える重要な存在です。
なお、旧浦上天主堂の遺壁と原爆落下中心地碑は、平和祈念像のある願いのゾーンではなく、南側の祈りのゾーン、一般に原爆落下中心地公園と呼ばれる区域にあります。それぞれの施設の位置と役割を理解しながら巡ることで、原爆被害の実態をより深く学ぶことができます。
ローソクを灯す追悼行事
平和祈念式典の前夜などには、平和の泉周辺で多数のローソクを灯し、原爆犠牲者を追悼する催しが行われることがあります。
夜の平和公園に並ぶ柔らかな灯火は、犠牲者一人ひとりの命に思いを寄せ、平和への願いを新たにする機会となっています。
ただし、催しの名称、実施場所、内容、開催時間などは年度によって変更される可能性があります。参加を希望する場合は、訪問前に長崎市などが発表するその年の公式情報を確認する必要があります。
平和公園での過ごし方
平和公園は、一般的な観光地とは異なり、原爆犠牲者を追悼し、戦争と平和について考える場所です。
平和祈念像を眺めるだけでなく、平和の泉の碑文、長崎刑務所浦上刑務支所跡、長崎の鐘、折鶴の塔、世界各国などから寄贈されたモニュメントを順に巡ると、公園に込められた意味をより深く理解できます。
さらに、南側の祈りのゾーンにある原爆落下中心地碑や旧浦上天主堂の遺壁、近隣の長崎原爆資料館、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などをあわせて訪れるのがおすすめです。
これらの施設を一緒に巡ることで、原爆投下に至った歴史的背景、被害の実態、被爆者の証言、復興の歩み、核兵器をめぐる現在の課題まで幅広く学ぶことができます。
見学の際は、慰霊や祈りを目的とする場所であることを忘れず、献花や黙とうを行っている人々に配慮しましょう。記念撮影をする場合も、周囲の雰囲気を尊重し、ほかの見学者の祈りを妨げないようにすることが大切です。
アクセス
平和祈念像や平和の泉がある願いのゾーンの所在地は、長崎県長崎市松山町です。
長崎駅前からは、赤迫方面行きの路面電車を利用し、「平和公園」電停で下車します。電停から公園入口までは徒歩約3分です。路線バスの場合は、「平和公園」バス停などを利用できます。
公園には有料駐車場もありますが、8月9日の平和祈念式典開催時や観光シーズンには、交通規制や混雑が発生することがあります。訪問前に最新の交通情報を確認し、可能であれば公共交通機関を利用すると便利です。
入口から平和祈念像のある区域までは階段や坂があります。入口付近にはエスカレーターも設けられていますが、点検や工事などによって利用できない場合があります。移動に不安がある場合は、利用可能な経路や設備を事前に確認しておくと安心です。
平和公園の魅力と意義
平和公園の最大の意義は、長崎で起きた原爆被害を後世へ伝え、その記憶を世界の平和につなげていることにあります。
平和祈念像の右手は原爆の脅威を警告し、左手は平和な未来を示しています。軽く閉じた瞼は戦争犠牲者の冥福を祈り、平和の泉を流れる水は、被爆後に水を求めながら亡くなった人々への追悼を表しています。
園内の鐘、折り鶴、刑務支所跡、世界各国などから寄贈されたモニュメントも、それぞれ異なる方法で命の尊さと平和への願いを伝えています。
現在の公園には木々や花が育ち、穏やかな風景が広がっています。しかし、その場所には原爆によって多くの命が失われた歴史があります。美しく整備された現在の景観と、その土地に刻まれた被爆の記憶の両方に向き合うことで、日常の平和が決して当然のものではないことを実感できます。
平和公園は、過去の悲劇を悼むだけの場所ではありません。被爆地・長崎から核兵器廃絶と世界恒久平和を訴え、未来を生きる人々に「平和を守るために何ができるのか」を問いかけ続ける場所です。
長崎を訪れた際には、平和祈念像や平和の泉だけでなく、願いのゾーンと祈りのゾーンの各施設を時間をかけて静かに巡り、命と平和の大切さについて考えたい重要な場所です。
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