
銀閣寺|観光の魅力・歴史・アクセス方法・営業時間を写真&動画でチェック!
庭園には「銀沙灘(ぎんしゃだん)」と呼ばれる美しい白砂や、月を愛でる趣のある「向月台(こうげつだい)」があり、国の特別名勝・特別史跡にも指定されています。庭園は四季折々の美を楽しむことができ、特に春と秋には本堂・東求堂・弄清亭の内部も特別公開されます。
この寺院は世界文化遺産にも登録されており、歴史や文化的価値も非常に高い。金閣寺とは対照的なその存在は、京都観光の際には外せないスポットであり、その深い歴史と独特の美を堪能することができます。銀閣寺への訪問は、日本文化と“わびさび”の精神をより深く理解する貴重な機会と言えるでしょう。
基本情報
- 名称
- 銀閣寺 (ぎんかくじ)
- 所在地
- 〒606-8402 京都府京都市左京区銀閣寺町2
- アクセス
- 市バス「銀閣寺前」下車徒歩5分
市バス「銀閣寺道」下車徒歩10分 - 駐車場
- バス12台・普通車40台
- 営業時間
- 参拝時間
夏季 (3月1日~11月30日)
午前8:30~午後5:00
冬季 (12月1日~2月末日)
午前9:00~午後4:30 - 定休日
- 年中無休
- 料金
- 参拝料金
大人(高校生以上)500円
小・中学生300円 - 連絡先
- 電話番号:075-771-5725
- 公式サイト
マップ
詳細情報
銀閣寺は、正式には「東山 慈照寺(じしょうじ)」といい、京都市左京区の東山に位置する臨済宗相国寺派の禅寺です。室町幕府第八代将軍・足利義政が、1482年(文明14年)に造営した山荘「東山殿」を起源とし、義政の没後、その遺命により禅寺へと改められ、「慈照寺」と名付けられました。寺号は、義政の法号である「慈照院殿」に由来しています。
「銀閣寺」という通称は、江戸時代以降に定着したもので、同じく足利将軍家ゆかりの「金閣寺(鹿苑寺)」に対比される形で呼ばれるようになりました。創建当初から銀箔が施されていたわけではなく、むしろその未完の美しさが「わびさび」の精神を体現しているとして、今日では世界中の人々から親しまれています。
歴史と背景
足利義政は、幼くして家督を継ぎ、15歳で将軍職に就いた人物ですが、その政治的手腕には恵まれず、応仁の乱などの混乱を経験しました。晩年になると政治の表舞台から身を引き、文化や芸術に強い関心を寄せるようになります。
義政が造営した山荘「東山殿」には、簡素で枯淡な美を尊ぶ「東山文化」の精神が色濃く表れており、その美意識は今日の日本文化にも大きな影響を与えています。義政の没後、山荘は禅寺へと改められ、彼の遺言により、すでに没していた高僧・夢窓疎石(むそうそせき)を象徴的な開山として迎えました。
1994年(平成6年)には、「古都京都の文化財」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。
建築と主要建物
銀閣寺を象徴する建物は、通称「銀閣」として知られる「観音殿(かんのんでん)」です。1489年(延徳元年)に上棟されたこの建物は、二層構造の楼閣で、上層を「潮音閣(ちょうおんかく)」、下層を「心空殿(しんくうでん)」と呼びます。上層には観音菩薩像が安置されており、禅宗仏殿風の意匠と住宅様式が融合した建築様式が特徴です。この建物は国宝に指定されており、現在は常時非公開ですが、その静かな佇まいは多くの訪問者を魅了しています。
もう一つの重要な建築物が「東求堂(とうぐどう)」です。これは義政が1486年(文明18年)に自身の持仏堂として建てたもので、現存する書院造の最古級の建物として国宝に指定されています。内部の「同仁斎(どうじんさい)」と呼ばれる四畳半の書斎は、茶室建築の原型ともいわれ、日本建築史上非常に貴重な存在です。なお、「東求堂」という名は、仏教の法語「東方の人、西方に生まれんことを求む」に由来するとされています。
方丈(本堂)には、阿弥陀如来像と足利義政の木像が安置されており、春と秋には特別公開が実施されることがあります。
庭園と景観
銀閣寺の庭園は、国の特別名勝および特別史跡に指定されている池泉回遊式庭園です。中心には「錦鏡池(きんきょうち)」があり、周囲に銀閣や東求堂、方丈などが配されています。池には島や橋、石組みが巧みに施され、建物と庭園、自然が見事に調和した美しい風景をつくり出しています。
特に有名なのが、方丈の前に広がる白砂の造形「銀沙灘(ぎんしゃだん)」と「向月台(こうげつだい)」です。江戸時代初期に整備されたとされるこれらの白砂の造形は、禅の世界観や宇宙観を象徴するとされ、観賞者に静かな感動と深い余韻を与えます。向月台は、満月を眺めるための台ともいわれる円錐形の白砂で、その意図については諸説ありますが、観る者の想像をかき立てる存在です。
また、庭園の上段には「お茶の井庭園」と呼ばれる枯山水庭園があります。昭和6年の発掘調査によって岩石群が発見され、義政の茶の湯文化への関心の深さを今に伝えています。
銀閣寺垣と坐禅石
参道沿いには「椿垣(つばきがき)」と呼ばれる生垣が続きます。これは長寿で芽吹きの良い椿を使った銀閣寺独自の造園手法で、景観の一部として高く評価されています。また、銀閣寺の山門周辺には、竹を用いた独特の意匠「銀閣寺垣」も見られ、こちらも造園美の観点から注目を集めています。
境内には「夢窓疎石坐禅石(むそうそせきざぜんせき)」と呼ばれる石もあります。これは、夢窓疎石がかつて坐禅を組んだと伝わる石で、錦鏡池の西側に静かに佇んでいます。義政の禅への傾倒を象徴するものとして、訪問者に深い印象を与えます。
魅力と文化的価値
銀閣寺の最大の魅力は、華美を排し、静けさと内面の豊かさに価値を見出す「わびさび」の美意識にあります。金箔に輝く金閣寺とは対照的に、銀閣寺はその控えめで静謐な佇まいの中に深い精神性を宿しています。未完成の美、経年による風化、簡素であることにこそ美があるという理念は、日本文化の本質に触れる重要な手がかりとなるでしょう。
また、建築、庭園、茶の湯、書院造など、さまざまな文化要素が高次元で融合しており、室町時代の美意識を今に伝える極めて貴重な文化財です。春や秋には建物内部の特別公開が行われ、通常は見られない空間を体験できる貴重な機会となっています。
銀閣寺は京都市左京区銀閣寺町に位置し、京都市バス「銀閣寺道」停留所から徒歩約10分でアクセスできます。叡山電鉄「出町柳」駅からも徒歩圏内にあり、周辺には「哲学の道」と呼ばれる遊歩道が整備されているため、四季折々の風景を楽しみながら散策をすることができます。
境内には売店や茶屋もあり、観光客が気軽に立ち寄れる環境が整っています。静かな自然と歴史に囲まれた空間で、心を落ち着けるひとときを過ごすことができます。
銀閣寺は、足利義政の深い美意識と禅の精神が結晶した、京都を代表する文化遺産のひとつです。その控えめで洗練された美しさは、見る者に静かな感動を与え、日本文化の奥深さを教えてくれます。京都観光の際には、ぜひ訪れていただきたいスポットのひとつであり、「わびさび」の心にふれる貴重な体験ができることでしょう。