京都国立近代美術館

京都国立近代美術館|観光の魅力・歴史・アクセス方法・営業時間を写真&動画でチェック!

京都国立近代美術館は、1963年に京都の岡崎公園内に開館しました。この美術館は、日本画、油彩画、版画、彫刻、写真、陶芸、染織など多岐にわたるアートジャンルを網羅しています。特に、京都や西日本の美術に焦点を当て、その地域の工芸品も多く展示しています。
この美術館の開館は、かつてフランスで没収された川崎造船所(現・川崎重工業)社長・松方幸次郎のアートコレクションが日本に返還される際の動きから始まりました。最初は松方コレクションを京都で展示する案があったものの、最終的には「国立近代美術館京都分館構想」に至りました。
美術館は、コレクション展を頻繁に入れ替え、多角的に作品を楽しめるよう工夫しています。展示される作品は、ピカソやゴッホといった西洋の巨匠から、土田麦僊や村上華岳といった日本の画家まで多岐にわたります。また、工芸の範囲も広がりを見せ、ガラス、ジュエリー、テキスタイル、家具、建築なども取り扱っています。
1986年には建築家槇文彦氏の設計による新館が追加され、2001年には独立行政法人として再編されました。所蔵するコレクションも多種多様で、近年では建築家・上野伊三郎や工芸家の上野リチのコレクションなども加わっています。
この美術館は、京都の文化とアートの発展に大いに寄与しており、その多様な展示活動で多くの訪問者を魅了しています。緑豊かな環境の中で、日本だけでなく世界の美術と工芸を堪能できる場所として、多くの人々に愛されています。

基本情報

名称
京都国立近代美術館 (きょうとこくりつきんだいびじゅつかん)
所在地
〒606-8344  京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26−1
アクセス
京都市営地下鉄東西線「東山駅」1番出口から徒歩約10分
JR「京都駅」から市バスで約30分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、徒歩すぐ
阪急電鉄京都線「烏丸駅」「京都河原町駅」・京阪電鉄京阪本線「三条駅」「祇園四条駅」から市バスで約20分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、徒歩すぐ
駐車場
駐車場 なし
営業時間
通常時間
午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
夜間開館
企画展開催中の毎週金曜日は午後8時(入館は午後7時30分)まで
定休日
毎週月曜日(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)及び年末・年始
料金
一般430円、大学生130円 *企画展は別料金
連絡先
電話番号:075-761-4111
公式サイト

マップ

詳細情報

京都国立近代美術館は、1963年(昭和38年)に京都市左京区岡崎の岡崎公園内に開館した、国立の美術館です。日本の近現代美術を中心に、日本画・洋画・版画・彫刻・工芸・写真・デザイン・建築など、多岐にわたる分野の作品を収集・展示・研究しています。特に、京都を中心とした西日本の美術や工芸に重点を置いていることが、大きな特色となっています。

開館の経緯と歴史
京都国立近代美術館は、国の文化政策の一環として設立された美術館で、1963年に「国立近代美術館京都分館」として開館しました。当時は、東京にある国立近代美術館の分館という位置づけでしたが、1967年(昭和42年)には独立し、「京都国立近代美術館」として再出発しました。

なお、美術館設立の背景として、松方幸次郎(川崎造船所〈現・川崎重工業〉の元社長)が収集したアートコレクションの返還と、それに関連する国立西洋美術館の設立という美術行政の動きも同時期に進められていましたが、京都国立近代美術館の設立とは直接の関係はありません。

建築と設計
現在の美術館の建物は、1986年に竣工しました。設計は、日本を代表する建築家であり、プリツカー賞など数々の国際的な建築賞を受賞している槇文彦(まき ふみひこ)氏が手がけました。建物はガラス張りを多用したモダンなデザインで、自然光を巧みに取り入れた、開放的で洗練された空間が特徴です。

外壁にはポルトガル産の花崗岩を使用し、格子状の意匠を施すことで、京都の碁盤目状の都市構造や、平安神宮を軸とする岡崎地域の左右対称の景観と調和するように設計されています。建築そのものを目的に訪れる学生や建築愛好家も多く、美術館は「知的空間」としても親しまれています。

展示内容とコレクション
京都国立近代美術館の所蔵作品は、約13,000点にのぼります。日本の近現代美術を中心に、日本画、洋画、版画、彫刻に加え、陶芸、染織、漆芸、ガラス、ジュエリーといった工芸作品にも力を入れています。特に京都画壇を代表する作家の作品や、関西の近代洋画、伝統工芸に関するコレクションは、国内外で高く評価されています。

近年では、建築家・上野伊三郎と工芸家・上野リチ夫妻による作品群も新たに収蔵され、コレクションの幅はさらに広がっています。

館内4階には「コレクション・ギャラリー」が常設展示室として設けられており、西日本を中心とした作家たちによる作品を季節ごとに入れ替えて展示しています。ジャンルを横断する多彩な作品群により、来館者は毎回新たな発見と出会いを楽しむことができます。また、開催中の企画展と連動した「関連展示」も行われ、より深い理解と鑑賞体験を提供しています。

企画展とイベント
美術館では、年間を通しておよそ5回の企画展が開催されています。これらの企画展では、国内外の美術や工芸をテーマに、ジャンルを問わない多様なアプローチで展覧会が構成されており、通常の展示では味わえないような体験型の展示や新しい視点の提供など、訪れる人々に多くの刺激と感動を与えています。

加えて、講演会やワークショップ、教育プログラムなどの普及・学習活動にも力を入れており、子どもから大人まで幅広い年齢層が参加できる機会が設けられています。館内では多言語に対応したガイドやデジタルコンテンツも導入されており、海外からの観光客にとっても親しみやすい環境が整えられています。

運営方針と理念
京都国立近代美術館は、近代から現代に至る美術の流れを整理・検討し、その成果を社会に還元することを大きな使命としています。以下の運営方針のもと、活動が展開されています。

美術館創設当初からの「工芸重視」の伝統を継承・発展させること
京都および関西における芸術活動に注目し、新たな視座を提示すること
絵画、彫刻、工芸、建築、写真、映像など多様なジャンルを横断的に研究・公開すること
国内外の美術との交流を深め、広い国際的視野を提供すること

また、美術作品や関連資料、図書資料の収集・保存・修復にも積極的に取り組み、展示だけでなく、将来的な公開と活用にも注力しています。学術的・美術的価値のある作品の寄贈受け入れも推進しており、コレクションの質的向上にも寄与しています。

京都国立近代美術館は、平安神宮の大鳥居や琵琶湖疏水に面した自然豊かな立地にあります。周囲には京都市京セラ美術館、京都市動物園、京都会館(ロームシアター京都)などの文化施設も多く、岡崎エリア全体が文化と芸術の中心地として整備されています。

館内には、入館料不要で利用できるカフェやミュージアムショップがあり、美術鑑賞の合間に立ち寄るのはもちろん、気軽に訪れて楽しむこともできます。展示室以外の空間も快適に整備されており、興味本位の来館でも十分に満足できる構成となっています。

京都国立近代美術館は、美術や工芸の豊かな魅力に触れることができる、京都の代表的な文化施設のひとつです。京都の伝統を踏まえつつも、国際的な視野を持ち、展示・研究・教育の各側面において優れた活動を展開しています。洗練された建築と知的な展示空間の中で、近現代美術の多様性に触れられる貴重な場所として、国内外の多くの来館者に親しまれています。京都観光の際には、ぜひ立ち寄りたいスポットです。

京都国立近代美術館関連動画